工業自動化はもはや意見でも選択肢のひとつでもありません。現実なのです。製造工程を改善し、より生産的、より効率的、より有効なソリューションの設計を依頼される工業デザイナーやプランナーは、ビジネスの一部としてますます複雑化してゆく現実を目の当たりにしています。
新しい製造工程を生み出すためのベストな自動化ソリューションはどうやって選べばいいのでしょうか。その際1つやそれ以上のアプリケーションを含め、既存の工程を発展させるには?最終的に会社が求めるものより高価になったり、効率が悪い代物ができるといった落とし穴にはまるのをどうしたら避けられるでしょうか?
設計者が最初に選ぶのは多関節ロボットであることが多いです。その一方で、直交軸システムは多くのアプリケーション分野で同じく有効な選択肢となります。以下でお話ししますが、2つのソリューションを比較すると、多くの場合この選択肢のメリットがもつ非常に興味深いが少し分かりにくい側面を発見することになります。
直交軸システムは、特定の作業条件、製造エリアレイアウトなど、その使用に適した状況においてとりわけ高いパフォーマンス、際だった成果を出すことが可能です。
例えば、
...以上の場合、直交軸システムはよりよい選択肢となります。
半製品が異なる作業ステーションを移動してゆく長い製造ラインを管理する場合、また生産エリアのレイアウトで機械周辺のスペースに制限がある場合(そして垂直に設けられる場合)、直交軸システムならその特性を活かして、多関節ロボットに比べ「経済的効率」の面でもよい仕事をしてくれます。
たった1つの直交軸システムができるはずの作業のために、どれだけの多関節ロボットを設置し、作動させ、メンテナンスをするのでしょうか。
ロボットを作業に取り掛からせたのはいいが、その後、次のタスクに移るのに「順番待ち」をするのであれば、多大な投資の元を取るのにどれだけかかるのでしょうか。
しかもそこで移動させる荷重が重く...あまりに重くて、その作業をさせるのにより大型のロボットが必要になり、サイジング、フットプリント、コスト、とまた一からやり直しになったら?
こういった状況、つまり作業エリアが広くて複数のステーションを抱える場所では、工程の自動化のためのソリューションに直交軸システムを選ぶのが自然な流れでしょう。
実際のところ、このソリューションの導入によって、マルチステーション型製造ラインではノンストップ稼働をしてくれるロボットにより自動化が可能になり、ロボットの動作と能力が作業に適合する限り工程間の移動がスムーズになります。
直交軸システムのソリューションなら1軸上で独立した動作も可能なので、稼働サイクルを最適化するのに必要なのは明らかです。
実際X、Y、Zの3軸に沿った移動は、動作とオートメーションに対する個々のニーズに応じて、すべて同じにするか前述のように独立したものに設定できます。
これは荷重の移動を、個別もしくは複数のユニットグループとして行うことのできるマルチキャリッジの使用により実現でき、多彩かつ特定の方法で異なる製造エリアに動力を提供します。
例えばY軸にラック駆動を使用し、X軸を同期、Z軸を独立させ、または軸の動作の組み合わせを場合によって変更しながら、アプリケーションのプランにもよりますが、最大14個のキャリッジを同じ工程内で、または同時に動作させることが可能です。
これは機械の軸や工具の存在を「見えなくする」垂直リフトによって、作業エリアを完全に解放するためのアプローチでもあります。
さきほども述べたように、直交軸システムは生産エリアのレイアウトをすっきりさせるだけでなく、動作の自由に加えて許容荷重の増加にも貢献します。
また、複数のステーションを持つ作業工程で高可搬質量を扱うケースでも、望ましいのは直交軸システムです。事実、多関節ロボットに比べて明らかに大きな荷重をZ軸上で動かせる唯一の自動化システムで、その際荷重を必要な位置でキープできるため、精度と再現性が保証されます。しかも、高速動作は維持したままです。
直交軸システムのダイナミズムは、設置とメンテナンスを考慮するときその最良の特性を表します。確かに特定のアプリケーションのために直交軸システムを特注製作することは、多関節ロボット1台よりベースとなるコストが断然高くなります。
しかしその価格は購入するロボットの数、すなわち自動化するステーションの数と反比例するのです。 さらにメンテナンスやメーカーのアフターサービス利用が激減するのも明らかです。なぜかと言うと、門型のメンテナンスは簡単なため、社内の技術担当者で対応できる場合がほとんどで、その結果出費が抑えられるからです。
多関節ロボットに掛かる経済的費用以外のコストのことまで考えると、この差は重要になってきます。メンテナンスにサポートを依頼するためには時間的なコストも必要だからです。それは製造のダウンタイムを意味し、少なく見積もっても生産性、業績、効率の著しい低下につながります。
最後に、直交軸システムと比較して多関節ロボットの使用と操作における柔軟性について考えてみましょう。
多関節ロボットの柔軟性は直交軸システムのスピードと「秤にかける」べき特性ですが、移動、再配置、プログラミングのやり直し、それにグリッパーを用途に合わせて変えたり、と費用が相当なものになることを忘れてはいけません。
さて、先に述べた数々の仮定を解消し、直交軸システムのメリットを理解したところで、具体的にはどういった製造部門での使用に向いているのかを見てまいりましょう。
直交軸システムの使用に向く典型的な産業分野は:
直交軸システムに典型的な性能が多関節ロボットのそれと融合できる状況というのは存在するのでしょうか。答えはイエス。外部リニア軸によって多関節ロボットを動かしたいときです。それがすべての意味で7つ目の自由度、つまり7軸目になる場合です。
このような機会はいつ訪れるのでしょうか。
ロボットの作業範囲を拡大する必要が出てきたときです。新しいプロジェクトを立ち上げるときや、既存の生産ラインのパフォーマンスを向上させたいときが典型的な例です。
第7軸を使用することで、「固定した」ソリューションにありがちな欠陥を埋めることができます。実際、第7軸上を移動する多関節ロボットができることは:
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