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過酷なパッケージングアプリケーション用アクチュエータの選定

リニアアクチュエータ

過酷なパッケージングアプリケーション用アクチュエータの選定

2 8, 2021

アクチュエータの選定、サイジング、作動にはストロークの 長さ、稼働率に始まり、精度や正確さなどさまざまな条件が 伴います。特定のアプリケーションに適切なアクチュエータ を見極めるにはプロジェクトのパフォーマンス、時間や予算 面を考慮し、それに関連する仕様をじっくり分析する必要が あります。

リニアアクチュエータに対して、要求が厳しい 製造業はいくつか存在しますが、とりわけ最終ラインパッケ ージングのアプリケーションはその最たるものに数えられます。

パレタイジング、箱詰め梱包、カートニング、車線変更とい った作業には、頑丈で信頼性のある運動機器が必要です。

パッケージ分野でとくに過酷なアプリケーション用アクチュ エータを選定する段階で、設計技術者やシステムインテグレ ーターが知っておかなければならない点はなんでしょうか? これから、考慮に入れるべき重要な点について見てまいりま しょう。

 

精度と正確さ

どのくらいのレベルの精度と正確さ、再現性 がアプリケーションに必要でしょうか?アクチュエータを使用 する最終ラインパッケージングのアプリケーションの大多数は 50µmの繰り返し位置決め精度で十分です。

リニアアクチュエ ータの上にエンドエフェクタあるいはグリッパを付けたスカラ ロボットの例を検証しましょう。エンドエフェクタが箱を持ち 上げ、パレットに移せるように、ロボットをさまざまな位置に 直線移動させるためアクチュエータが使用されます。

ロボット にその作業をさせるためには、動作は再現性があり、信頼性が 高く、かなりの精度が必要ですが、それでもこのケースで寸分 違わぬ正確さが必要なことはまれです。より精度の高い位置決 めが必要な場合は、アクチュエータのメーカーに、リニアエン コーダのオプションについて相談することをお勧めします。

 

最終ラインパッケージング作業に向く 頑丈なアクチュエータ

パッケージ部門のヘビーデューティアプリケーション向けに設計されたリニアアクチュエータ は、多くの分野で活用されています。

  • 箱詰め梱包
  • カートニング
  • ロボットによるパレタイジング
  • 車線変更
  •  シュリンク包装
  • 多軸ガントリーシステム
  • スカラロボットの移動
  • 平行軸上の高荷重移動
  • 重量のプッシュプル

許容荷重

アクチュエータが対応するべき荷重、 モーメント、力について考えてみましょう。もちろんパッケー ジング分野の過酷なアプリケーション用にはかなり高い動的負 荷容量が必要です。

アクチュエータは高速・高加速度でどれだ けの荷重に対応できるのでしょうか?推力、動的負荷容量、曲 げモーメントに関するアクチュエータの仕様をよく分析するの が肝要です。

許容荷重はアクチュエータの内部構造に直接関わ ってきます。

外見だけを見れば、アクチュエータはどれも似通 っていますが、その中には高速で高荷重に対応する設計のもの も、高速では軽荷重のみ対応となるものもあります。

:アクチュエータを比較するときは、単位に特に注意してくだ さい。SI単位のメートル法を使用するメーカーもあれば、アメ リカ慣習単位のヤード・ポンド法を使用するところもあります。 仕様データを見るときは、同じ尺度で比較するように十分に注 意してください。

 

スペースとストロークの長さ

必要なストローク長と同様に、システムが 収まるようにスペースの範囲を 決定することが大事です。例えば、アクチュエータの仕事はロボットを 所定の位置に移動させることですか?もしそうなら、ロボットが直線経路を 走行するのに必要な長さはどれだけですか?

または複数のアクチュエータを使用して、 ガントリーシステムを構築し、箱の移動を させるのでしょうか?

最終ラインパッケージングのケースでは、 可搬質量に制限のあるスカラロボットではなく、 重荷重に対応するためにヘビーデューティ用の高剛性アクチュエータを使って、 3軸ガントリーシステムを構築する方が理にかなう場合が あります。

多くの場合、スカラロボットと比較すると ガントリーシステムに要するスペースは前者と同程度か、 それ以下になります。

 

デューティサイクル

寿命に関する要件に加えて、アプリケーション の動作プロファイル、デューティサイクル、サイクルタイム、滞留時間について 考慮することが大切です。

パレタイジング、カートニングのような パッケージングのアプリケーションの多くでは、ほぼ一定の動作が必要なので、アクチュエータ が異なる位置を前後に移動するのと同様の動作を します。

アクチュエータのメーカーにメンテナンスと 潤滑の頻度について相談することも重要です。アクチュエータ によって、潤滑が20,000 km使用毎で済むものと、 より頻繁に行わなければならないものがあります。

 

動作環境

どんな作業条件が アクチュエータと設備に影響を与えるのでしょう か?アクチュエータの可動部分をほこり、湿気、その他の コンタミから保護するために、特殊なシールやジャバラが必要 なのでしょうか?オプションで付けられるのかメーカーに問い合わせてみましょう。

 

空間的配置

アクチュエータは使用スペースでどのように 配置されるのでしょうか?荷重と力はどうなり ますか?取り付けオプションについても考える必要があります。

パッケージング では、作業の多くが水平取り付けを必要としますが、 多軸システムやシュリンク包装のような作業には 垂直取り付けを必要とすることがしばしばあります。システム を設計する初期の段階から、アクチュエータのメーカーに 詳細を知ってもらえば知ってもらえるだけ、アプリケーションが成功する 確率は高くなります。

さらに、多軸セットアップ内の、 アクチュエータ同士の連結について考慮した方がいいでしょう。

アクチュエータを 互いにしっかりと連結するよう設計されたブラケットやクロスプレート などの備品を提供するメーカーもありますが、 接続に関する業務をエンドユーザーに任せるメーカーもあります。 システムの接続が適切でない場合、ミスアライメント、 振動、精度の低下、さらには故障を引き起こすおそれが あります。

Attuators_Packaging-Rollon

速度と加速度

パッケージング作業用に 適切なアクチュエータを選定するには、 加速度と減速度に加えて、まず移動速度を知る必要が あります。

アクチュエータは特定の位置でカートンをつかんで パレットへ移動する動作に対応できるよう、コンベアベルトの速度に すばやく合わせなければなりませんか? ピック&プレース動作を完了する間、ロボットを 数秒間所定の位置に移動する必要があり、その後 元の位置に引っ込めなくてはならないのではないですか。

これらの 詳細についてメーカー側は知っておく必要があります。 ヘビーデューティ用アクチュエータには最大5 m/sの速度で高荷重を 支持できるものもあれば、速度、許容荷重ともに制限のあるものも 存在します。

 

アクチュエータの構造

先ほども述べたように、アクチュエータは 一見、どれも似たように見えます。高強度と軽量化を実現するため、 ほとんどがアルマイト処理アルミ押出材でできていますが、ほとんど の場合、類似性はこれだけです。

最終ラインパッケージング作業に使 用される重荷重対応ヘビーデューティ用アクチュエータの仕様は、よ く分析する価値があります。もうひとつ重要な点、ガイドシステムに ついてもお話ししましょう。

最良なのは予圧を加えたリニアガイドで、 移動システム全体の精度、再現性、剛性を向上させるのに役立ちます。

樹脂コーティングまたはプラスチック製ローラーは、始めはよいです が、予圧をかけたガイドに比べて、耐久性と剛性の面で劣ります。

ベアリングのことも考慮に入れましょう。

予圧がかけられ、工作機械 での使用に耐えるスチール製のリニアベアリングは、システムの剛性 と精度の向上に大いに役立ちます。

ベルト駆動のアクチュエータの場合、考慮すべきなのはシャフトと プーリーの構造についてです。最良なのは耐久性と長寿命を保証する スチール製のプーリーです。また、シャフトとプーリーの取り付けも 考慮すべき点です。

1本の鋼材から機械加工されてできたアセンブリは、 プーリーがシャフトに圧入されている複数の部品配置のソリューション とは違い、プーリーがシャフト上を滑らないことを意味します。

さらに、 ベルトを案内するには、プーリーを押しつけたりプーリー上に形成する 軽量フランジではなく、頑丈なボルトオンフランジを備えたプーリーの 方がいいでしょう。

最後に、プラスチックやブロンズのブッシュより、 プーリーを使用し駆動に予圧をかけたラジアルボールベアリングを選ぶ のをお勧めします。

最終ラインパッケージングのアプリケーションで 重荷重に対応できるヘビーデューティ用アクチュエータは、これらすべ ての詳細によって成り立つと言えます。

 

減速機とモーターの組み合わせ

要求の厳しいパッケージング 作業用に高速ベルト駆動アクチュエータを選定する際、 慣性モーメントを合わせ、トルク増大装置として機能させるため 95%以上が減速機、変速機を 必要とします。

アクチュエータのメーカーには、選定を 楽にするため遊星減速機をアクチュエータのアセンブリの一部として 提供するところもあります。

モーターの サイジングについても検討すべき要素です。システム全体を アプリケーションに適合させるため、モーター製造メーカーに 詳細な技術データを提供できるかどうか アクチュエータのメーカーに問い合わせることを お勧めします。

こういったプレエンジニアリングを 見積もりの中に入れて提供しているメーカーもあります。

 

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